インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
てっきりこの指輪の代金も両親に出してもらうんだとばかり思っていたのに、尚史はそんなことを考えてくれていたらしい。

これまで誕生日なんかのプレゼントと言えば、だいたいはお互いに相手の好きなゲームや漫画を贈り合っていた。

幼馴染みのときはそれでじゅうぶんだったと思う。

だけど今はただの仲の良い幼馴染みではない。

もし結婚しなかったら、私は一生尚史から指輪なんてプレゼントされることはなかっただろう。

それにしても不思議なのは、私が『光子おばあちゃんに花嫁姿を見せるために結婚する』と言い出したときに、尚史はそれを止めようともせず、『俺と結婚しよう』とも言わなかったことだ。

私のことがずっと好きだったと尚史は言っていたし、普通ならそこは全力で止めるはずだよね?

「あら?でも尚史くんはモモが結婚するって言い出したときには止めなかったわよね?」

さすが親子、母も私と同じことを疑問に思ったようだ。

私もその理由を詳しく知りたい。

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