インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
計量カップでお米を量り、ボウルを重ねたザルに入れて一度水に浸し、その水を捨ててから米を研ぐ。

「モモ……あんた、お米研ぐの下手ね。そんなに力入れたらお米が潰れちゃうでしょ。押さえつけてこするんじゃなくて、もっと優しく、お米をすり合わせるようにして」

「はい……」

始めていきなりのダメ出しだ。

27にもなって、お米もろくに研げないなんて情けない。

「こういうのは慣れだからね。毎日やってるとそのうち慣れて普通にできるようになるから。最初から全部完璧にこなそうとしても無理だろうけど、仕事しててもお米研いでご飯くらいは炊けるでしょ?」

「おかずは?」

「夫婦二人だけなんだから、慣れるまではおかずなんて出来合いでもレトルトでも、極端な話、納豆でも卵でもふりかけでも、食べられたらなんだっていいのよ。少しずつできること増やしなさい」

「はい、わかりました師匠」

その後も母に教わりながら、卵を茹でたり、ジャガイモの皮を剥いて包丁で切ったりした。

尚史は私の隣にやって来て、危なっかしい私の手付きをじっと見たあと、「俺も教えて」と母に頼んだ。

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