インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「尚史って課長なの?」

私が尋ねると、尚史はしれっとした顔でうなずいた。

「7人しかいない課だけど、一応そういうことになってるらしい」

「らしいって……」

他人事みたいに答える尚史を横目で見ていると、店のドアが開き兄者が姿を現した。

「遅れてごめんな」

ふ、副社長だ!

ここは社員として挨拶すべきなのか、それとも兄者の友人の妻というポジションで挨拶すべきなのか?

私が迷って口ごもっていると、兄者の後ろからきれいな女の人がひょっこりと顔を覗かせた。

「モモさん、この子は俺たちの高校の同級生の水野。尚史とは大学も同じだったし、駅で偶然会ったから連れてきた」

「はじめまして、水野 亜沙美(みずの あさみ)です」

水野さんはニコッと笑って私に軽く会釈した。

私もあわてて頭を下げる。

「はじめまして……。夏目……じゃなかった、中森モモです」

尚史にはこんな美人な友達がいたのか。

偶然会ったから連れてきたと言うことは、尚史やキヨともかなり仲が良かったに違いない。

それなのに尚史とキヨは、黙ったまま顔を見合わせている。

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