インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
私が二人の間の妙な空気に違和感を抱いていると、キヨがカウンターの奥から新しいグラスを持って来て水野さんに差し出しビールを注いだ。

「まぁ……せっかく来たんだから、水野も楽しんでけ」

「ありがと。キヨがお店やってるなんて知らなかったよ」

「そうか?同級生のやつらは割とよく来てるぞ」

「私、就職してから今年の春までは京都にいたから。たぶんそれで知らなかったんだね」

キヨは水野さんと普通に会話しているけれど、尚史はさっきから黙ったままだ。

やっぱりそんなに仲良くなかったのかな?

いや、でもそれとは何かが違う気がする。

尚史の表情を見たところ、水野さんとはあまり会いたくなかったとか、後ろめたいことがあるとか、そんな類いの気まずさを感じる。

「尚史、どうしたの?気分悪い?」

「大丈夫、なんでもない」

なんでもないと言いながら、完全に目が泳いでいる。

これ、明らかに何かあったよね?

胸の奥からモヤッとしたものが込み上げてきた。

だけどせっかくみんながお祝いしてくれているのに、ここで尚史を問い詰めると、場の雰囲気をぶち壊しかねない。

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