インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「来るに決まってるでしょ。私は今日からここで尚史と一緒に暮らすんだから。それにもし私がへそ曲げて来なかったとしても、実家はすぐそこなんだから迎えに来て惚れ直させるくらいの根性見せてよ」

「うん……そうだよな。俺、モモにもっともっと好きになってもらえるように、頑張っていい男になるよ」

尚史のこういうところは素直で可愛い。

そんなに頑張らなくても、尚史は私にはもったいないくらいのいい男だ。

「前にも言ったけど……そんなに頑張らなくても尚史はそのままでじゅうぶんいい男だから。これ以上いい男になられたら私が困る」

「なんで困る?」

「モテすぎると私が不安になる」

誉め言葉で言ったつもりなのに、尚史はそれを聞いて黙り込んでしまった。

しまった、地雷だったか。

昨日のことをまだ引きずっているから、尚史は私の言葉を『モテすぎるとまた水野さんみたいな女の人が出てきたら困る』と言う意味でとらえたのかも知れない。

どうやってフォローしようかと考えていると、尚史のスマホの着信音が鳴った。

尚史は電話に出て受けこたえしている。

それを聞いたところ、どうやらこれから家具が届くようだ。

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