インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「家具、あと10分くらいで着くって」

「じゃあすぐだね」

いいタイミングで家具が届くことになり、私はホッとしながら部屋の荷物を邪魔にならない場所に移動させる。

そのあとは二人で家具を置く位置を確認して、届いた家具を配送スタッフに運び込んでもらった。

家具がそろった部屋は先ほどまでより生活感がある。

今日からここで尚史との生活が始まる。

別々に暮らしていたときとは違って、喧嘩をしても気まずいことがあっても、私たちの帰る場所は同じなんだ。

できるだけ些細なことで喧嘩しないように、そしてもし喧嘩をしても早い段階でお互いが納得して仲直りできるように、いくつかルールを決めておいた方がいいのかも知れない。

「ねぇ尚史、二人の間のルールを決めておこうか」

「ルール?って、どんな?」

「例えば……帰りが遅くなる日は必ず連絡するとか、出張とか仕事で帰れない場合は別として、遅くなっても必ず帰ってくるとか」

例として家族間でも当たり前にすることをあげてみると、尚史は少し考えるそぶりを見せた。

尚史が言うとすれば、お互いの趣味の時間は邪魔しないとか、そんなところかな。

< 548 / 732 >

この作品をシェア

pagetop