インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「モモ、そんな飲み方したら……」

尚史は無茶な飲み方をする私を止めようと、あわててそばに駆け寄った。

誰のせいで私がこうなってると思っとるんじゃ!

私は尚史を全力で突き飛ばし、二つ目のチューハイを飲み干して、空き缶を尚史に投げつけた。

これには尚史も驚いたようで、目を大きく見開いたあと、黙ったまま床に転がった空き缶を拾い上げる。

急激にアルコールを摂取した私の視界がぼやけて、つらそうな尚史の顔が歪んで見えた。

足元がふらつき倒れそうになった私の体を、尚史はとっさに受け止め黙って支える。

「ねぇ……尚史は今でも、その気になれば私以外の女の子とセックスできるの?」

酔いに任せてストレートに尋ねると、尚史は唇を真一文字に結び、ゆっくりと首を横に振った。

「モモじゃないとイヤだ……。俺だってホントは、モモ以外の女を抱きたかったわけじゃない。俺が好きなのはずっとモモだけだ」

尚史は言っていることとやっていたことが矛盾している。

少しくらい酔っていても、まともな恋愛経験のない私にだって、それくらいはわかる。

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