インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
まずい、乙女のピンチだ。
このままでは拉致されてしまう!
またあのときの恐怖が脳裏に蘇り、うまく息ができない。
ガスコンロの火を止めて振り返ったキヨに助けを求めようと口を開こうとした瞬間、誰かが男の腕をつかみ上げて振り払い、私の体を引き寄せその胸に顔をうずめさせた。
まさか新手の刺客か?!
そう思ったけれど、その人の腕の中は先ほどとは違って嫌悪感や不快感は一切なく、それどころかなぜかホッとして強ばっていた体から力が抜けるのを感じた。
この力強い腕とか厚い胸板は間違いなく男の人のものなのに、安心するってどういうこと?
ああ……そうか、危ないところを助けてもらったからなのかも。
窮地に立たされパニクっていたので顔も見ていないけれど、一体誰なんだろう?
「俺の連れに何か用でも?」
その声は聞き慣れたいつもの声よりかなり低くてドスが効いているけれど、間違いなく尚史の声だ。
……ってことは……これ、尚史?
ほんの少し顔を上げて見てみると、尚史が私を連れ出そうとしていた男をにらみつけていた。
ゲームをしているとき以外は無気力ないつもの尚史とは別人のようだ。
このままでは拉致されてしまう!
またあのときの恐怖が脳裏に蘇り、うまく息ができない。
ガスコンロの火を止めて振り返ったキヨに助けを求めようと口を開こうとした瞬間、誰かが男の腕をつかみ上げて振り払い、私の体を引き寄せその胸に顔をうずめさせた。
まさか新手の刺客か?!
そう思ったけれど、その人の腕の中は先ほどとは違って嫌悪感や不快感は一切なく、それどころかなぜかホッとして強ばっていた体から力が抜けるのを感じた。
この力強い腕とか厚い胸板は間違いなく男の人のものなのに、安心するってどういうこと?
ああ……そうか、危ないところを助けてもらったからなのかも。
窮地に立たされパニクっていたので顔も見ていないけれど、一体誰なんだろう?
「俺の連れに何か用でも?」
その声は聞き慣れたいつもの声よりかなり低くてドスが効いているけれど、間違いなく尚史の声だ。
……ってことは……これ、尚史?
ほんの少し顔を上げて見てみると、尚史が私を連れ出そうとしていた男をにらみつけていた。
ゲームをしているとき以外は無気力ないつもの尚史とは別人のようだ。