インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
今夜は一緒にカレーライスを作るはずだったのに、尚史は一人で作っちゃったんだな。

何もできない私なんか、尚史のそばにいなくてもいいみたい。

『俺にはモモなんか必要ない』と言われたようで、悲しくてまた涙が溢れ出した。

涙を流しながらぼんやりと尚史を眺めていると、ずっと真剣な顔つきで鍋の中身を見ていた尚史が顔をあげた。

「あ……起きた?」

「うん……」

シャツの袖であわてて涙を拭うと、IHクッキングヒーターのスイッチを切った尚史がゆっくりとこちらに近づいてきた。

「また泣いてる……?」

「だって尚史が……」

「うん……」

尚史は私の頭を撫でようとしたけれど、躊躇してその手を止める。

「ごめん、触らないでって言われたのに、風邪ひくといけないから勝手にベッドに運んだ。それであんまりよく寝てたから、一人でカレー作ってみた。起きたら腹減ってるかなと思って」

尚史は私を気遣って目一杯優しくしてくれているのに、今はその優しささえもが私の機嫌をとるためのように思えて、『ありがとう』の一言が素直に言えなかった。

「……尚史は一人で料理できちゃうんだね。私なんかなんの役にも立たないし、いない方がいいんじゃないかな……」

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