インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「やっちまった……。ライスがなきゃ、ただのカレーじゃん……」

「これから炊けばいいんじゃない?」

「何分くらいで炊けるんだろ?」

「さぁ……?」

炊飯器の炊飯ボタンを押して尚史の方を見ると、尚史はがっくりとうなだれていた。

そんなに落ち込むほどのことでもなかろうに。

「こんなことにも気付けないなんて、俺やっぱ全然ダメだな」

「そんなことないと思うよ。一人でカレー作れたんだから」

「作り方はカレールーの箱に書いてあったけど、野菜の切り方とか全然わからなくてさ。ネットで調べてなんとかできたけど……ホントはモモと一緒に作りたかった」

「うん……私も」

キッチンに立って向かい合ったまま、二人してしばらくの間黙り込んだ。

尚史も私と同じことを考えていたことがわかって嬉しかったけれど、そうなった原因である問題はまだ解決していないから、手放しでは喜べない。

「飯が炊けるまで少し時間もあるし、先に風呂済ませる?」

尚史はまだ水野さんとのことを話す覚悟ができていないのか、話を先延ばしにしようとしているような気がした。

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