インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「なるわけないじゃん。もうあんなことしたくない。水野と離れるだけが目的なら水野には黙って京都の会社に就職してたけど、俺はモモが好きだから、水野の言いなりになるよりモモのそばにいて命掛けてでも守るって決めたんだ」

私が今勤めている会社と同じビル内にある会社に就職すると尚史が決めたのには、そんな理由があったのだと初めて知った。

四大卒女子の就活の難しいご時世だと言うのに、私は運良く早い段階で今勤めている会社の内定をもらうことができていた。

尚史がそれより早い時期に京都の会社に内定していたことは洋子ママから聞いていたので、その後、尚史から今勤めている会社に就職すると聞いたときには、これからも今まで通り尚史に会えるとホッとしたものだ。

京都の会社は尚史が今勤めている会社よりずっと規模が大きくて給料も良かったのに、尚史はなぜ京都の会社の内定を辞退して今の会社に就職することを決めたのかと疑問に思ったこともあったけど、私はそんな経緯も知らず、ただ単に地元を離れがたいのだなと、のん気に思っていた。

「尚史、私を水野さんから守るために今の会社に就職したの?」

「それもあるけど……俺がモモと離れたくなかったから。恋人になれなくても、幼馴染みのままでもいいから、モモと一緒にいたかったんだ。俺はどうしようもなくモモが好きだから」

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