インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
なるほど、多くの女子がこの無自覚イケメンの犠牲になったということだな。

「尚史って、ホントやな男だね」

「えっ……」

「そういうの一番ひどいと思う。女の敵だよ」

私が冷たく放った一言に、尚史は大きく目を見開いたあと、がっくりと肩を落とした。

嫌われたと思ったかな?

本当は聞きたくもない話を長々と聞いてあげたんだから、これくらいの意地悪をしても許されるよね?

「モモ、それってもしかして……」

「あっ、御飯炊けてるみたいだね。お腹空いたし、晩御飯にしよう」

「ああ……うん……」

尚史の作ったカレーを温め直し、炊きたての御飯にたっぷり掛けて、二人で向かい合って食べた。

野菜の大きさは少々不揃いではあったけど、しっかり火も通っていたし、『味にはあんまり自信がない』と言っていたわりにうまくできている。

私と同じ料理初心者の尚史が、一人でこんなに上手にカレーを作れたのがちょっと悔しくて、私は「美味しい」とは言わず黙々とスプーンを口に運んだ。

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