インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
尚史はさっきからずっと私の様子を窺っている。

「あのさ、モモ……」

「何?」

「えっと……美味しい?」

本当はもっと別のこと、おそらくさっきの『一緒にいてください』の返事を聞きたかったんだろう。

それはわかっているけれど、意地悪な私はあえて気付かないふりをした。

「……普通」

「そっか……」

さらに肩を落としてしょんぼりしている尚史を見ていると、自分が意地悪したにもかかわらず、だんだんかわいそうになってきた。

せっかく私のために頑張って作ってくれたのに、あんまり可愛げのないことばかり言っていると、私の方が嫌われてしまうかも。

ここは素直に、美味しくできていることを認めよう。

「嘘、美味しいよ。ありがとね」

「……うん」

私がお礼を言うと尚史は少しホッとしたのか、嬉しそうに微笑んだ。

あんなにひどいことを言ったのに、それでも尚史は私を愛してると言ってくれた。

私も素直に謝って、ちゃんと仲直りしよう。

これからも尚史とずっと一緒にいたいから。

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