インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
食事を終えると、尚史は使い終わったお皿やグラスを持って立ち上がった。

「片付けは俺がやっとくから、モモは先に風呂に入って」

良き夫の鑑のように優しい尚史の言葉には感動したけれど、やってもらってばかりと言うのも申し訳ない。

「私はあとでいいから、尚史が先に入って。カレー作ってもらったし片付けは私がする」

「そんなのいいから、風呂入りな」

なぜそんなにお風呂を勧めるのだ?

もしかして私、汗くさい?

それとも尚史はそんなに食器洗いがしたいのか?

まさか、私にはお皿もまともに洗えないとでも思ってる?

「いいよ、私がするから」

「いや、俺がする」

「いや、私が」

たいした量の洗い物でもないのに、二人でキッチンに立って一歩も譲らず、向かい合ったまま攻防戦が続いた。

「ねぇ、なんで?まだ何か隠してる?」

「隠してるって言うか……だってほら、風呂に入ったらコンタクト外すから」

「えっ……?尚史、コンタクトしてたの?」

「就職を機にコンタクトにしたんだよ。仕事中によく見えないのは困るし、しょっちゅうモモと会うから」

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