インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「昼間からヘビーな話だったわ……。今日はモモを冷やかして楽しもうと思ってたのに」

みっちゃんは釣り銭とレシートを財布にしまいながらため息をついた。

「ごめんね。でも私たち付き合い長いから、人が聞いて面白いようなのろけ話はできないと思うよ」

「そんなことないでしょ、尚史さんはモモにベタ惚れだもん。次は溺愛エピソード聞かせてもらうからね」

みっちゃんめ、私がそういう甘ったるい話をするのは苦手だと知って言っているんだな?

やはり女の敵は女か?

ならば私も負けるわけにはいかない。

「みっちゃんが彼氏の溺愛エピソード聞かせてくれたら、私も話すよ」

「それこそないわ」

笑いながらオフィスに戻り、午後の仕事の準備をしていると、みっちゃんが私の横を通りすぎるときに肩をポンと叩いた。

「まぁ、なんだっていいの。モモが幸せなら、私はそれだけで満足。さっきの話の女が嫌がらせしてきたとか、なんか困ったことがあったらすぐに相談してよ!」

女の敵は女だと言うのも間違いではないけれど、女友達という心強い味方もいるのだと思うと、それだけで強くなれそうな気がした。


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