インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
そのことがなければ、尚史は水野さんと友達のままでいられたかも知れないし、水野さんも尚史に身代わりの関係を持ちかけたりはしなかったかも知れない。

せめて尚史が身代わりの関係をキッパリ拒むことができていれば、尚史も水野さんもここまで苦しむことはなかっただろう。

過ぎてしまったことを『あのときああしていたら』とか『こうしていなければ』と考えてもどうにもならないけれど、自分の過ちを悔やんでいるなら、これから先の人生では同じ失敗を繰り返すことはないんじゃないだろうか。

「そういえば……学生時代にモモさんに男を紹介してた女の子がいたんだろ?」

「ああ、うん。いたね」

「モモさんのこと気に入ってる男がいるから紹介してやってくれって、その子に頼んでたのも水野だって。水野はその子がモモさんの友達だって知ってて、その子と同じ予備校選んで、声掛けて友達になったらしい。モモさんに彼氏ができれば、尚史がモモさんをあきらめるだろうって思ったんだってさ」

「えーっ……高校時代からそんな根回しされてたの……?」

水野さんの執念深さは私の想像を遥かに越えていた。

そこまで尚史に執着していた水野さんが、『彼に別れを告げられてまだ立ち直れない』と吐露しているということは、それだけその彼のことが好きだったんだろう。

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