インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「まだおかわりたのんでないけど?」

「この間はあんなことがあってケチがついたからな。結婚祝いの仕切り直しだ、おごってやる」

「ありがと、そういうことなら遠慮なく」

私がグラスに残っていたビールを勢いよく飲み干すと、尚史があわてた様子で私の肩をガシッとつかんだ。

「モモ、頼むから外ではゆっくり控えめに飲んでくれ」

「なんで?」

「モモは早いペースで酒飲むと豹変するじゃん。前科2犯だからな。俺はモモの痴態を他人に見せたくない」

尚史は小声でそう言って、私をジト目でにらみつける。

情けないけど本当のことだから反論できず、私はしぶしぶうなずいた。

ハイペースでお酒を飲んで、酔って服を脱ぎ捨てて尚史に迫った私の罪は相当重いらしい。

チビチビとビールを飲みながら冷めかけたオムライスを食べていると、尚史が少し笑って私の耳元に顔を近付ける。

「でも家で二人で楽しく酒飲んでるときなら、いつでも大歓迎だから」

甘い声で囁かれ耳に尚史の息がかかると、電流が走り抜けるように身体中がゾクゾクした。

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