インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「えっ、俺に買ってきてくれたの?」

「うん。みんなの夜食の買い出しに行ったついでだけど……」

尚史はコンビニ袋の中を覗いて、嬉しそうに笑いながら私の頭を撫でた。

「おお、さすがモモ!俺の好きなモンばっか」

「でしょ?」

「モモはもうメシ済んだ?」

「これから。じつはここに持ってるんだけど……よく考えたら一緒に食べる場所なんかないよね、別の会社の人間を勝手に入れるとまずいでしょ?」

尚史は腕組みをしながら「うーん」と小さくうなったあと、「あっ……そうだ」と呟いた。

「モモが入れる場所あった。こっち来て」

後ろをついて歩くと、尚史はエレベーターから少し離れた部屋のドアを開けて電気をつけた。

そこはこぢんまりとした殺風景な部屋で、部屋の真ん中にテーブル、その周りにはキャスター付きのイスが4つ置かれていた。

「ここは?」

「小会議室。この時間はさすがに誰も使わないし、社外の人が来たときなんかにも使う部屋だから問題ない」

尚史は私にイスに座るように促し、自分も隣のイスに座ってネクタイをゆるめた。

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