インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「あっそう……。じゃあいつも通り適当な服で行く」

「それでいいよ。俺もそうだし、モモは何着てもモモだし」

なんだそれ?

私は何を着ても代わり映えしないって言いたいのか?

それとも『モモとはどこに出掛けて何をしてもデートなんて思ってないよ!』と言うのが本音なのか。

仮にもカップルとして過ごすことになったのだから、お世辞でも『かわいい』の一言くらいは言わせてみたい気がしなくもない。

とは言っても、私のことなんて見飽きている尚史を唸らせるようなかわいい服なんて持っていないし、私がどんなにおしゃれをしたところで、きっと尚史はいまさらなんとも思わないのだろう。

私がそんなことを考えていると、尚史が伝票を手に取った。

「そろそろ出ようか」

「ああ……うん、そうだね」

てっきりここはいつも通り割り勘だと思ったのに、レジに行くと尚史は私がバッグから財布を出すより早く、二人分の食事代をまとめて支払った。

細かいお金がないからあとで割り勘にするつもりなのかな。

そう思いながら店を出て、私も細かいお金はあっただろうかと考えながら財布を出した。

「私の分はいくらだっけ?」

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