インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
お金に関しては今まで通りの割り勘を希望したけれど、尚史はなかなか首を縦に振ろうとしない。

デートのときの服装にはこだわらないのに、支払いを彼氏がすることにはこだわるなんて変わっていると思う。

「ねぇ、なんでそこまでこだわるの?」

「デートでは男が払うのが当たり前なんだろ?女子に払わせるのは男として恥ずかしいって言われたから、ずっとそうしてきたんだけど」

意外なことに古風と言うか、尚史は『男がおごって当たり前』などと言う古臭い考えの持ち主のようだ。

それよりも私は、尚史が何人くらいの女の子にそうしてきたのかとか、そんなことを誰に吹き込まれたかの方が気になる。

「えーっ……何それ、誰がそんなことを……」

「昔付き合ってた相手とか、会社の先輩とかいろいろ」

「それで相手の女の子は誰一人として払おうとはしなかったの?」

「そう。財布出そうとすらしないで、ごちそうさまーって」

なんて図々しい!

そこはせめて、嘘でもいいから「いくら払えばいい?」って聞けよ!……と、私は思うのだけど、尚史はそれが当たり前だと勘違いしていたから、疑問に思わなかったのだろう。

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