インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「彼氏との食事はデートのうちに入ると思うよ」

「そうか、それならいい」

尚史はどこか納得した様子で笑みを浮かべた。


駅までの道のりを歩いている間、尚史はいつもより口数が多かった。

女装したキヨにヘッドロックを掛けられながら結婚を迫られる夢の話とか、今朝電車の中で見た変わったくしゃみをするおじさんの話とか、たいした内容ではなかったけれど、いつも一生懸命話すのはゲームの話くらいの尚史が、今日はゲーム以外のことを話そうと頑張って話題を探してくれているのかなと思えて、少し嬉しかった。

だから私も、漫画やゲーム以外の話題を一生懸命探して話した。

それもやっぱりたいした内容ではなく、会社の上司の独特のイントネーションが気になってしょうがないとか、財布が傷んできたからそろそろ買い替えようかと思いながら4年も持ちこたえているなどという他愛もないことばかりだったけど、尚史は笑いながら話を聞いてくれた。

今までも尚史とは日常的な会話を普通にしていたつもりだったけれど、お互いに無言でも苦にはならなかったから、何か話そうと話題を探したことはなかったと思う。

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