インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
尚史の視線の先にいるカップルは、1ミリの隙間もないんじゃないかと思うほどべったりとくっついて座り、お互いの頭を寄せ合って、いわゆる『恋人繋ぎ』と言うやつで手を握り合っている。

どっぷりと二人の世界に浸って、今にも接吻などを始めてしまいそうな勢いだ。

常識をわきまえた普通の大人のカップルが、公衆の面前であれほどイチャイチャするとは思えない。

「いやー……あれは若いし、若さゆえに所構わずマックスで盛り上がってるみたいだから、例外でしょ……」

「ふーん……さすがにあれはやり過ぎか。正直、俺も引く」

引くのかよ!

だったらなぜあの二人をお手本にしようとした?

もし予告もなくいきなりあんなことを強要されたら、いくら相手が尚史でも私は全力で拒むだろう。

「他にもカップルはいるでしょ?どうせならもっと普通のカップルをお手本にしようよ……」

「あー、確かにいるな。あの二人があんまり目についたから他が霞んで見えたけど、カップルって案外普通なんだな」

手を繋いだり腕を組んだり、そのどちらもせずに寄り添っていたり、必要以上にくっつかないで普通に笑って会話しているカップルもいる。

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