W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
それからというもの、涼月は監査の合間を縫ってはいろんな所に出没していた。
監査の一環なんだろうが、みんなは「さっき社長が通り過ぎたと思ったらまた同じところから社長が出てきた!」とか、「社長に飲みにいかないか?って誘われた!」とか、(それはぜっったい社長じゃない)至る所から噂が持ち上がった。
倉庫管理にいる親友の丸山朱莉(まるやまあかり)にまで、[ねえ!社長が珍しくあちこち出没してるけど、双子ってホント?どっちかどっちだかわかんない!]って興奮気味に電話してきた。仕事中なのに…。
何とか宥め、今度詳しく話すと約束させられ電話を切る。
ここはトイレの中。
社食でも噂が飛び交い秘書の静香を捕まえて、根掘り葉掘り聞かれるものだからあまり食べられずにトイレに逃げ込みため息が漏れる。
「もう、つかれた」
まだ昼過ぎたばかりなのにもうどっと疲れが出て、とぼとぼと社長室に帰る。
自分の席に戻ると中から人の気配。
梗月は涼月に連れ出されて外に食べに行ったはず。
もう戻ってきのかと、社長室のドアをノックした。
「どうぞ」と声がして入ると、デスクの椅子を後ろに向けて外を眺めているような梗月。
「梗月さん、もう戻ってらしたんですね。午後の仕事の前にコーヒーでもお出ししましょうか?」
「ああ、頼むよ、静香くん」
そう言って椅子ごと振り向いた梗月‥‥じゃない!
「涼月さん!なんでこんなとこにいるんですか?梗月さんは?」
「あれ?ばれちゃった?なんで君にはばれちゃうんだろうね?」
面白そうに笑う涼月を見てため息が出る。
「そんなの知りません。それより涼月さん、社内の至る所に出没するのは止めてください。みんな混乱してます」
「それは無理だね、僕は監査で来ている。社内の至る所に目を光らせ不正がないか見ないといけないからね」
片目を瞑り、どや顔の涼月にちょっとムッとする。
「せめて、社長のふりして女子社員を誘うのは止めてください。社長も困りますし、社内の風紀が乱れます」
「そこは、私が嫉妬しちゃうからって言うとこじゃないの?」
「はあっ?」
何を言ってるんだこの人は!
くすくす笑う涼月に言い返そうと一歩前へ進んだ時、カチャとドアが開いた。
監査の一環なんだろうが、みんなは「さっき社長が通り過ぎたと思ったらまた同じところから社長が出てきた!」とか、「社長に飲みにいかないか?って誘われた!」とか、(それはぜっったい社長じゃない)至る所から噂が持ち上がった。
倉庫管理にいる親友の丸山朱莉(まるやまあかり)にまで、[ねえ!社長が珍しくあちこち出没してるけど、双子ってホント?どっちかどっちだかわかんない!]って興奮気味に電話してきた。仕事中なのに…。
何とか宥め、今度詳しく話すと約束させられ電話を切る。
ここはトイレの中。
社食でも噂が飛び交い秘書の静香を捕まえて、根掘り葉掘り聞かれるものだからあまり食べられずにトイレに逃げ込みため息が漏れる。
「もう、つかれた」
まだ昼過ぎたばかりなのにもうどっと疲れが出て、とぼとぼと社長室に帰る。
自分の席に戻ると中から人の気配。
梗月は涼月に連れ出されて外に食べに行ったはず。
もう戻ってきのかと、社長室のドアをノックした。
「どうぞ」と声がして入ると、デスクの椅子を後ろに向けて外を眺めているような梗月。
「梗月さん、もう戻ってらしたんですね。午後の仕事の前にコーヒーでもお出ししましょうか?」
「ああ、頼むよ、静香くん」
そう言って椅子ごと振り向いた梗月‥‥じゃない!
「涼月さん!なんでこんなとこにいるんですか?梗月さんは?」
「あれ?ばれちゃった?なんで君にはばれちゃうんだろうね?」
面白そうに笑う涼月を見てため息が出る。
「そんなの知りません。それより涼月さん、社内の至る所に出没するのは止めてください。みんな混乱してます」
「それは無理だね、僕は監査で来ている。社内の至る所に目を光らせ不正がないか見ないといけないからね」
片目を瞑り、どや顔の涼月にちょっとムッとする。
「せめて、社長のふりして女子社員を誘うのは止めてください。社長も困りますし、社内の風紀が乱れます」
「そこは、私が嫉妬しちゃうからって言うとこじゃないの?」
「はあっ?」
何を言ってるんだこの人は!
くすくす笑う涼月に言い返そうと一歩前へ進んだ時、カチャとドアが開いた。