W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
「静香くん何してるの?…りょう、こんなとこにいたのか。前澤さんが呼んでる」

「あ~おもしろかった。がぜん君に興味が沸いたよ。改めてよろしくね。し・ず・か・くん」

静香にウィンクをして、梗月の肩をたたき思わせぶりな目をして出て行った。
静香と梗月はそんな後姿を見送った。

「・・・」

言葉もなく突っ立っていると、梗月が振り向きこちらに向かってくる。
デスクに向かうだろうと見ていたら、静香の前で立ち止まった。

「君は、涼月と何を話していた?」

見上げるとまた不安そうな目をして見下ろす顔。

「梗月さんだと思って話しかけたら涼月さんだったので、梗月さんはどこか聞いてました・・」

「…すぐに涼月だとわかったの?」

「はい…後ろを向いてたんですけど振り返ったら涼月さんだったので」

「そう・・・涼月はああやって僕のふりをしては皆をからかうんだ。だから静香くんも気を付けて・・・」

見つめ返していると、そっと指先が静香の頬に触れる。
ドキッとして思わずびくっとなってしまうと、スッとその手は離れ梗月はデスクに向かった。
触れられた頬を押え振り向くと椅子に座りながら「静香くん、コーヒーを頼むよ」といつものように言った。

「は、はい!」

赤い顔を隠すように社長室を出て秘書室の一角にある給湯室に逃げ込んだ。

な、なんだったのあれは。

深呼吸をして、ドキドキを鎮めるようにわざとゆっくりコーヒーを入れる。
まるであの夜の時のような縋るような目で見つめ、哀しそうな顔。
やっぱり、涼月となんかあったのだろうか?
知りたいような知りたくないような…。出来れば二人、心から仲良くしてほしいと思う。
その後、コーヒーを持っていくと何事もなかったように仕事をしている梗月を気にしながら社長室を出た。

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