W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
涼月のいた辺りを目線で示唆するとそこから少し離れたところで女性陣に囲まれてる涼月がいた。
静香が離れたことで遠巻きに見ていた彼女たちはすかさず涼月に近づいたんだろう。
先ほど鬼の形相で静香を睨んでいた人たちが夢見心地な表情で涼月を見つめていた。
呆れて、はあ、と、またため息が出る。
静香の目線に誘われるように涼月を見た奈津子は苦虫を噛み潰したような顔で涼月を見つめていた。
「あなた、いいの?涼ちゃん囲まれてるけど」
「え、いや、ちょっと疲れまして…あの女性たちに睨まれるのも居たたまれないんで…」
静香より背の高い奈津子にまた上から迫るように聞かれ、困って引くと信じられないというような顔をしている。
「あなたたち、結婚するんじゃないの?結婚相手が女性に囲まれてるなんて私は耐えらんないわ」
「それは…。あの、奈津子さんは認めるんですか?」
あんなに怒っていたのに急に態度が軟化してる奈津子を不思議に思った。
「…涼ちゃんがあなたと結婚するというのなら、諦めるしかないわ…。会いに行っても取り合ってくれないし」
しゅんとした奈津子は、初対面の勝気な印象が影をひそめ、切なげな表情でまた涼月を見つめていた。
恋する乙女のようなその憂い顔がまた綺麗でどきりとした。
「これで私は、梗ちゃんと結婚することになりそうよ。いいわねあなたは好きな人と結婚できて…」
聞き取れないくらいの小さな声を静香は聞き逃さなかった。
梗月さんと結婚…。やっぱりそうなるのか。梗月さんはそれで幸せになる?でも、奈津子さんは…
「奈津子さんは、涼月さんが好きなんですか?じゃあ、梗月さんの事は?」
「どっちだっていいじゃない。もう、どっちでも…」
不貞腐れたような奈津子にガバッと両肩を掴んだ。
「どっちでもいいわけないじゃないですか!涼月さんも梗月さんもいくら双子でも別の人間です!ちゃんと個人を見てあげてください」
「わ、分かってるわよそんなこと。あなたに言われる筋合いないわ」
静香の必死の形相に強張った表情をした奈津子は腕を振り払うとその場を後にした。
その後ろ姿を見送っているとやっと涼月が戻ってきた。
「静香ちゃん、こんなところにいた、…あれは、奈津子?」
後ろ姿の奈津子を見つけた涼月はその後ろ姿を呆然と見つめる。見上げると、ふっとこちらを向いた。
「パーティはもう終盤だから入り口がごった返す前に帰ろう」
にっこり笑って静香の手を取った涼月。
その手がギュッと痛いぐらいに掴まれて先を急ぐように会場を後にした。
静香が離れたことで遠巻きに見ていた彼女たちはすかさず涼月に近づいたんだろう。
先ほど鬼の形相で静香を睨んでいた人たちが夢見心地な表情で涼月を見つめていた。
呆れて、はあ、と、またため息が出る。
静香の目線に誘われるように涼月を見た奈津子は苦虫を噛み潰したような顔で涼月を見つめていた。
「あなた、いいの?涼ちゃん囲まれてるけど」
「え、いや、ちょっと疲れまして…あの女性たちに睨まれるのも居たたまれないんで…」
静香より背の高い奈津子にまた上から迫るように聞かれ、困って引くと信じられないというような顔をしている。
「あなたたち、結婚するんじゃないの?結婚相手が女性に囲まれてるなんて私は耐えらんないわ」
「それは…。あの、奈津子さんは認めるんですか?」
あんなに怒っていたのに急に態度が軟化してる奈津子を不思議に思った。
「…涼ちゃんがあなたと結婚するというのなら、諦めるしかないわ…。会いに行っても取り合ってくれないし」
しゅんとした奈津子は、初対面の勝気な印象が影をひそめ、切なげな表情でまた涼月を見つめていた。
恋する乙女のようなその憂い顔がまた綺麗でどきりとした。
「これで私は、梗ちゃんと結婚することになりそうよ。いいわねあなたは好きな人と結婚できて…」
聞き取れないくらいの小さな声を静香は聞き逃さなかった。
梗月さんと結婚…。やっぱりそうなるのか。梗月さんはそれで幸せになる?でも、奈津子さんは…
「奈津子さんは、涼月さんが好きなんですか?じゃあ、梗月さんの事は?」
「どっちだっていいじゃない。もう、どっちでも…」
不貞腐れたような奈津子にガバッと両肩を掴んだ。
「どっちでもいいわけないじゃないですか!涼月さんも梗月さんもいくら双子でも別の人間です!ちゃんと個人を見てあげてください」
「わ、分かってるわよそんなこと。あなたに言われる筋合いないわ」
静香の必死の形相に強張った表情をした奈津子は腕を振り払うとその場を後にした。
その後ろ姿を見送っているとやっと涼月が戻ってきた。
「静香ちゃん、こんなところにいた、…あれは、奈津子?」
後ろ姿の奈津子を見つけた涼月はその後ろ姿を呆然と見つめる。見上げると、ふっとこちらを向いた。
「パーティはもう終盤だから入り口がごった返す前に帰ろう」
にっこり笑って静香の手を取った涼月。
その手がギュッと痛いぐらいに掴まれて先を急ぐように会場を後にした。