W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
1時間ほど走ってそのまま静香たちの住む街に帰るのかと思っていたら高速を降り、海沿いを走り、小高い丘に佇む一軒のペンションの前に止まった。

「降りて」

促されるまま降り、ペンションの中に入ると、木の香り漂う素敵なログハウス風の内装で今の状況を忘れて浮き立った。

「梗月くん!久しぶり。よく来たわね」

「突然すいません。今夜泊まらせてください」

50代くらいの優しそうな女性が笑顔で出迎えてくれた。

「いいのよ、大歓迎!こちらは?」

にこにこと静香を見る女性に、なんて言っていいのか言葉に詰まる。

「新村静香さん、僕の…大切な人だよ」

「まあ!そうなの?大切な人を連れて来てくれたなんて嬉しいわ!」

「梗月さん?」

驚いてかすれた声が出て梗月を見上げる。
フッと優しい眼差しで静香を見おろした後、目の前の女性を紹介した。

「こちらは涼月の秘書の坂巻さんのお母さん。ここは燈夜さんの実家なんだ、昔から懇意にしてもらってる。」

「坂巻さんの…一昨日から二日間お世話になってました」

よく見ると目元がどことなく坂巻に似ている。
あらそお?私の事はママって読んでね?なんて軽く言って静香たちを部屋に案内してくれた。
案内された部屋は2階の一番奥、中へ入ると広い室内にソファーとテーブルがあり他はバスルームとパウダールーム、メゾネットタイプで寝室は上にあり明かり取りの天窓がちらりと見えた。
窓の外を見ると海が一望できるベランダがあり白い椅子とテーブル、二人乗りのブランコまである。

「素敵…」

ぐるりと辺りを見回し一言呟いた。
「じゃあ後はごゆっくり」と二人を残しママさんは部屋を出ていった。

「……」

また二人きりになってシーンと静まり返った室内。
何を話したら…と考えているとそっと手を触れられた。

「静香くん…まずは僕の話を聞いてくれるか?」

不安そうな目で静香を見る梗月に、何を聞かされるのか不安になりながらもこくんと頷いてみせると、そのまま手を引かれソファーに並んで座った。

「何から話そう…。そうだな僕の学生時代から…」

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