W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
バスルームに入れられドアが閉まった音を聞いてはあ~っとその場にへたり込んだ。

「ドキドキしすぎて心臓が壊れるかと思った…」

胸を押え深呼吸をして落ち着けると、のろのろと起き上がって服を脱ぎ、ソワソワした気持ちを、落ち着きを取り戻すように頭からシャワーを浴びた。
酷い顔をしてるんじゃないかと曇る鏡を拭いて覗いたときに見えた胸にギクッと一瞬止まる。
右胸に歯型の跡がくっきり残っている。

そうだ、私は昨日、涼月さんに抱かれた・・・・

呆然と見る自分の姿を映す鏡は段々と曇っていく。
はっと我に返り、タオルでごしごし洗ってみたけど、消えるわけもなく、肌が擦れて赤くなるだけだった。
愕然としながら早々に上がり、バスローブしかなかったからそれを着て恐る恐るバスルームを出た。
ソファーに座っていた梗月は気配に気づいて後ろを振り向いた。
目を見開き一瞬固まってからサッと立ち上がり側に来てくれた。

「早かったね、ゆっくり入ればよかったのに。なんだ、まだ髪が濡れてるじゃないか。このままじゃ風邪をひく。ちょっと待ってて」

青い顔をして何も言えずにいる私をソファーに座らせ、梗月はバスルームに入っていった。
出てきたと思ったら、手にはドライヤーとタオルを持っている。
静香の後ろに回るとドライヤーを付け髪を乾かし始めた。

「あ、あの、私自分でしますから…」

「いいから、じっとして。・・どうした?」

「い、いえ…」

様子がおかしいのに気付いて声を掛けられても言えなかった。
胸に残る歯型。
バスローブの胸元をぎゅっと握りしめじっとしていた。

「…」

黙って髪を乾かしてくれる梗月。

「よし、いいだろう。僕も入ってくるから、ワインでも飲んでゆっくりしてて」

テーブルには白ワインと二つのグラス。
先に少し飲んでたようだ。
梗月がバスルームに消えると膝を抱え項垂れた。

どうしよう…、涼月に抱かれたことを言ったら梗月さんはどう思うだろうか…。

折角想いが通じたのに、離れていく梗月を思い浮かべて怖くなった。
言わない手もあるかもしれないけど、この歯型を見てしまったら傷つくのは梗月だ。
悶々としてるうちに梗月がバスルームから出てきた。
バスローブを着てタオルでごしごし頭を拭いている。
いつもは横に流す長めの前髪が無造作に垂れていて妖艶さを倍増している。
ドキドキして見てられずに目を背けた。
梗月は立ったままワインをグラスに入れ一気飲みし、静香の手を取った。

「飲んでないみたいだね?喉は乾かないかい?」

「はい…」

「このままここにいたら体が冷える。上へ行こうか」

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