身代わり令嬢に終わらない口づけを
「待ってください、お父様。急にそんなことを言われても……」
「急ではない。もう半年も前から話は進んでいたのだ」
どうやら、いつものごとく断られてはかなわないと、すべてのお膳立てを終わらせてからようやく、本人への報告となったらしい。だから、ベアトリス付きの侍女であるローズにも、本人にばれないように知らされていなかったのだろう。
「カーライル公爵家から、今年二十六歳になる息子の伴侶としてお前が欲しいと申し出があった」
「カーライル公爵家ですって?」
相手がカーライル公爵家となれば、それは機嫌もよくなるだろう、とローズは納得する。
カーライル公爵は、現国王の実弟にあたり国の議員をつとめる名の知れた貴族だ。
「急ではない。もう半年も前から話は進んでいたのだ」
どうやら、いつものごとく断られてはかなわないと、すべてのお膳立てを終わらせてからようやく、本人への報告となったらしい。だから、ベアトリス付きの侍女であるローズにも、本人にばれないように知らされていなかったのだろう。
「カーライル公爵家から、今年二十六歳になる息子の伴侶としてお前が欲しいと申し出があった」
「カーライル公爵家ですって?」
相手がカーライル公爵家となれば、それは機嫌もよくなるだろう、とローズは納得する。
カーライル公爵は、現国王の実弟にあたり国の議員をつとめる名の知れた貴族だ。