身代わり令嬢に終わらない口づけを
 彼女の豪快さにレオンが言葉を失っていると、ひどく優しい目になってクリステルは彼を見つめた。

『あんたとも全く縁がないわけでもないしねえ……これも私の運命なのかしら。ま、このまま一人で老いさらばえていくものと思っていたけれど、こんな素晴らしい娘と息子を持てるなんて、人生捨てたもんじゃないわ』

「レオン様……」

 どう答えていいのかわからずに、ローズはただレオンを見上げる。

「伯爵令嬢だろうが侍女だろうがなんでもいい。お前を……今ここにいるお前を、愛している」


 そう告げたレオンの瞳は、今までローズが見た中で一番、熱く真剣だった。大きく見開かれたローズの目が、再び潤み始める。

「どうか、俺と結婚してほしい」
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