うさぎに罪はないがうさぎ好きな彼は罪深い
「はい。
じゃあ、……好きですよ、仁史さん」

自分から斉藤さんの首に腕を回し、唇を重ねる。
離れると目を白黒させている彼が見えた。
これくらいで動揺しているのが、らしくなさ過ぎてちょっとおかしい。

「その、あの。
……もっとキス、していい?」

「どうぞ」

今度は斉藤さんの方から唇が重なる。

こうして私たちは付き合い始めたわけだけど……。



「もうさ、理奈(りな)、涙ぽろぽろ零してぎゅーって僕に……」

「仁史さん!!!」

自販機コーナー。
嬉しそうに話している仁史さんの前には、苦笑いの男性社員。

「ちょっと、こっち来てください!!」
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