ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
真正面から受け止めた眼差し。
その充血して濁った翡翠の瞳に、ズキンと胸が痛んだ。
彼がこの2週間どれほど苦しんだか、伝わってきたから。
私だけじゃなかった。
別れて辛いのは。思いを引きずってしまうのは。
愛し合った日々は、私の独りよがりじゃなかった。
自分でも制御できない昏い喜びを感じる一方で、それじゃダメなんだともう一人の私が戒める。
彼は前に進まなきゃいけない。
私のところで、止まってちゃダメなのに。
「あの、私……」
食い入るように注がれる視線の圧力に耐えきれなくて、目をそらしながら唇を噛む――
ハッ……と皮肉っぽく、彼が喉の奥で笑った。
「なるほど、拓巳に言われた? 助けてやれって?」
私が返事に窮していると。
額に手を当てた彼が、くつくつと肩を揺らし出す。
「そんなに危なっかしく見えたのかな。自分じゃまだ大丈夫だと思ってるんだけど」
「拓巳さん……心配してた。帰ってないんだって? 家でしっかり寝たら? ご飯だってちゃんと――っ……」
ぐ、と続く言葉を飲み込んだ。
寄越された眼差しが、突き刺すように尖っていたから。