ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
雅樹と顔を見合わせて、とりあえず言う通りにしてみることにした。
すぐそばの窓から、外へ視線をやる――
表参道の目抜き通りらしく、観光客っぽい外国人や女性たちでにぎわってる。
何を見せたいんだろう?
誰か、有名人でもいたとか?
ヒントなしじゃコメントのしようがなくて、「うん、見たよ」ととりあえず報告する。
「……へ? いませんか? ほんとに?」
「いませんかって……誰か待ってるの?」
まったく、話がかみ合わない。
「へ……え、嘘、えぇえええっ!?」
がばあッと立ち上がったラムちゃんは、
ガツッッ!!!
「いったぁああああああ!!!」
勢いよくテーブルに頭をぶつけ。
べちゃっとまた、床へ潰れた。
「お前、大変だな……」
憐れむように言う雅樹へ、私はなんとか、引きつった笑いを返した。