ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
とくんとくんとくん……
閉鎖された二人きりの空間。
自然と思い出してしまうのは、先週末の夜で……
しっかりしろ、と自分を励ましながら、
胸の前で組み合わせた両手に、力を込めた。
「だ、大事な仕事の話、って……何?」
内容なんて、全く予想がつかない。
とりあえず先手必勝、とばかりつっかえながら口を開く。
すると。
コツ、コツ……
彼がこっちに歩み寄ってきて。
私は気圧されるように同じだけ、後ずさった。
息が詰まりそうな緊張の中。
「っふ、っ………」
ふいにライアンが、皮肉っぽく笑った。
「そんなに怯えないで。襲い掛かったりしないから」
「おおお怯えて、なんかっ……」