ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

開けた視界いっぱいに映ったのは――金色の髪の王子様だった。


「っ……」


あぁ最悪だ。

彼に助けれちゃうなんて。
どこから現れたんだろう。

「あ、っ……ありが、と……」

なんとかお礼だけ言って、あたふたと身体を離そうとして……
大きな手に両腕を鷲掴まれ、じっと覗き込まれた。

「な、に?」


「飛鳥、君……」


金糸のようなまつ毛の、一本一本まで見える距離に、
一気に鼓動がばくばくと暴れはじめ――


「え……ちょ、ちょっとっっ!」

いきなりふわっと身体が浮いて、思わず叫んでしまった。
な、なにこれ……お姫様抱っこ!?

「なな何するのよっ! すぐおろしてっ!」


「新条さん、彼女、調子がよくないみたいなんですが、どこか横になれるようなところはありますか?」

「え、ちょ、何勝手なことっ」

広い肩越し、新条部長の顔がのぞいた。
「医務室がすぐ下の階にある」
「わかりました」

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