行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
拓海が桃子から離れ、とある関係会社への挨拶に向かった時だった。
「あなたが望月桃子さん?」
給仕からシャンパンを受け取り、一息つこうとした桃子が顔をあげると、目の前にサーモンピンクのカクテルドレスを着た北王路望美が立っていた。
「はい、私がTBUの副社長の望月桃子です。この度はわざわざ当社の五周年パーティにご参加頂きありがとうございます」
真っ白なウエディングドレスのようなカクテルドレスを着た桃子と張り合うような衣装の望美が並ぶと、彩り豊かな花が咲き乱れているようだ。
「専務とやらはここにはいないの?」
「西園寺なら、海外へ出かけており不在です」
「では、南條ビバレッジの廣瀬美憂さんはどちらにいらっしゃるかしら?」
桃子はキョロキョロと辺りを見渡すと、千歳と並んでバイキングの料理を選んでいた美憂を見つけて手招きをする。
「こちらが南條ビバレッジの営業補佐である廣瀬美憂さんとお兄様の広報副部長・廣瀬千歳さんです」
桃子が二人を紹介すると、望美は不躾に美憂をジロジロと眺めた。
「あなたが美憂さん?まだお子様じゃないの。どちらかというと桃子さんの方がまだマシと言ったところかしら」
゛ふん゛
と顎をしゃくり上げてニヤリと笑った望美だったが、桃子も美憂も、もちろん千歳も何のことかわからず唖然としていた。
「まあ、いいわ。波留斗さんが遊びであなた方に手を出しているとしても本気にならないことね。私というフィアンセをないがしろにしては、南條ビバレッジどころか、新興企業のTBUなんてあっという間に潰れてしまうわよ」
「私と南條広報部長がどうかしたのですか?何か誤解があるようですが、私達は仕事上のお付き合いがあるだけで・・・」
桃子が誤解を解こうと口を開くと
「まあ、はしたない。あなたは仕事で波留斗さんを誘惑して手玉にとってるというの?とんだ売女ね」
「ば、売女・・・ですか?」
2次元オタクの桃子ですら、そんな死語はあまり目にすることも耳にすることもない。
口に手を当てて笑いを堪えようとしていると、
「そして、そこのあなた。美憂さんだったかしら?」
「は、はい」
突然話をふられた美憂はビクッとして千歳の後ろに隠れた。
「お兄様の後ろに隠れるとは、なんて主体性がないのかしら。まあ、お兄様は美丈夫と言えるかもしれないけれど」
「美丈夫・・・」
舌なめずりをして千歳に流し目をする望美と比較しても、日本人形のように可愛い美憂は、決して負けてはいないほど魅力的だった。
「ちょっと若くて可愛らしいからといって調子にのらないことね。波留斗さんがあなたに声をかけるのも、退屈しのぎの遊びに決まってるわ」
「遊びって・・・相手にされたこともありませ・・・」
美憂が涙目で俯くと千歳が背中を優しく撫でる。
「まあ、優しいお兄様だこと。美憂さんのこたは目をつぶっておくから、波留斗さんの親友の千歳さんとならお友達になって差し上げてもよくってよ?」
腰に両手を当てて胸を反らす望美に、3人は言葉も出ない。
どうやら、桃子と美憂は、望美の敵認定、波留斗の遊び相手認定されているようだった。
「あなたが望月桃子さん?」
給仕からシャンパンを受け取り、一息つこうとした桃子が顔をあげると、目の前にサーモンピンクのカクテルドレスを着た北王路望美が立っていた。
「はい、私がTBUの副社長の望月桃子です。この度はわざわざ当社の五周年パーティにご参加頂きありがとうございます」
真っ白なウエディングドレスのようなカクテルドレスを着た桃子と張り合うような衣装の望美が並ぶと、彩り豊かな花が咲き乱れているようだ。
「専務とやらはここにはいないの?」
「西園寺なら、海外へ出かけており不在です」
「では、南條ビバレッジの廣瀬美憂さんはどちらにいらっしゃるかしら?」
桃子はキョロキョロと辺りを見渡すと、千歳と並んでバイキングの料理を選んでいた美憂を見つけて手招きをする。
「こちらが南條ビバレッジの営業補佐である廣瀬美憂さんとお兄様の広報副部長・廣瀬千歳さんです」
桃子が二人を紹介すると、望美は不躾に美憂をジロジロと眺めた。
「あなたが美憂さん?まだお子様じゃないの。どちらかというと桃子さんの方がまだマシと言ったところかしら」
゛ふん゛
と顎をしゃくり上げてニヤリと笑った望美だったが、桃子も美憂も、もちろん千歳も何のことかわからず唖然としていた。
「まあ、いいわ。波留斗さんが遊びであなた方に手を出しているとしても本気にならないことね。私というフィアンセをないがしろにしては、南條ビバレッジどころか、新興企業のTBUなんてあっという間に潰れてしまうわよ」
「私と南條広報部長がどうかしたのですか?何か誤解があるようですが、私達は仕事上のお付き合いがあるだけで・・・」
桃子が誤解を解こうと口を開くと
「まあ、はしたない。あなたは仕事で波留斗さんを誘惑して手玉にとってるというの?とんだ売女ね」
「ば、売女・・・ですか?」
2次元オタクの桃子ですら、そんな死語はあまり目にすることも耳にすることもない。
口に手を当てて笑いを堪えようとしていると、
「そして、そこのあなた。美憂さんだったかしら?」
「は、はい」
突然話をふられた美憂はビクッとして千歳の後ろに隠れた。
「お兄様の後ろに隠れるとは、なんて主体性がないのかしら。まあ、お兄様は美丈夫と言えるかもしれないけれど」
「美丈夫・・・」
舌なめずりをして千歳に流し目をする望美と比較しても、日本人形のように可愛い美憂は、決して負けてはいないほど魅力的だった。
「ちょっと若くて可愛らしいからといって調子にのらないことね。波留斗さんがあなたに声をかけるのも、退屈しのぎの遊びに決まってるわ」
「遊びって・・・相手にされたこともありませ・・・」
美憂が涙目で俯くと千歳が背中を優しく撫でる。
「まあ、優しいお兄様だこと。美憂さんのこたは目をつぶっておくから、波留斗さんの親友の千歳さんとならお友達になって差し上げてもよくってよ?」
腰に両手を当てて胸を反らす望美に、3人は言葉も出ない。
どうやら、桃子と美憂は、望美の敵認定、波留斗の遊び相手認定されているようだった。