行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「結局、なんだったんだよ、あの人」

残されて無言になった6人の静けさを破ったのは千歳だった。

「まあ、波留斗を奪われまいと勘違いの相手に牽制に来たが、勝ち目のない本命のライバル達を前にスゴスゴと引き下がった、といったところかな」

肩をすくめる拓海は豪快な笑顔を見せて笑っている。

「あのう、mirayさん・・・って、男性だったのですね。凄いイケメン・・・。しかも波留くんがそっちの人だったなんて、美憂に靡かないのも納得だわ」

頬を赤らめた美憂が千歳の後ろから顔を出しながら言った。

「美憂ちゃん、mirayに惚れた?」

拓海が美憂の顔をじっと見つめると

「ほ、惚れちゃいそうですけど、さ、最近彼氏ができまして・・・」

「なんだ、残念。俺が口説こうと思っていたのにな」

拓海の軽口を邪魔するように

「なに?美憂、聞いてないぞ!お前は波留斗が好きだっただろう」

と、千歳が捲し立てる。

「何年前のこと言ってるのよ。私が高校生の頃にフラれてから、とっくに諦めてますぅ!もちろん、憧れは憧れですけど」

すると、先程までの大人しさが嘘のように、千歳を睨み付けながら美憂が言い返す。

「そっか、それなら良かった」

そう言ったmirayの呟きは、言い合いをしている廣瀬兄妹には聞こえなかったが、波留斗の耳には届いていた。

「だから、誤解だって言ったろ?」

mirayの肩を抱き寄せる波留斗の目は愛しさで溢れていた。

「きゃあ!尊い!」

数メートル離れたところにいる望美の雄叫びが、6人の耳に届いた。

望美は、波留斗とmirayを目で追っていたことがバレて気まずいのか目を反らしたが、やはりチラチラと視線を向けている。

「俺もサービスするかな」

拓海が波留斗とmirayの間に入り込んで、二人の肩を組み、それぞれの頬にキスをした。

「萌え死ぬ・・・🖤」

顔を覆った望美はスマホで3人を写真におさめると、ダッシュでその場を逃げ出していった。
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