もうひとりの極上御曹司

「じゃあ、この週末はハンバーグで来週末はこの間千春が欲しがっていた靴を買いに行こう。実は千春が雑誌に付箋を貼っているのに気づいてさ、取り寄せてるんだ。来週中には店に届くらしいから、一緒に見に行こうな」
「は? 見に行こうなって、勝手に……」

駿平が千春のために散財するのはいつものことだとはいえ、いい加減やめてほしいと千春は言いそうになるが、隣で笑っている緑に気づいて口を閉じた。

緑は千春と駿平の顔を交互に見ながら、楽し気に口を開く。

「千春ちゃんが靴を欲しがるだなんて珍しいわね。あ、だったら来週は私もご一緒するわ。駿平先生が取り寄せた靴以外にも欲しいものがあればいくらでもプレゼントしたいもの。それに、懇意にしているデザイナーのパリのお店に近々行くから、そこで一緒にお買い物をしましょう」
「は? パリ? いえいえ、遠慮します。靴も洋服もたくさん緑さんからプレゼントしてもらって間に合ってますから、大丈夫です」

千春は慌ててそう言ったが、緑がおとなしく引き下がるわけがない。

千春の声を聞き流すとウキウキしたように言葉を続けた。

「千春ちゃんはスタイルがいいからなんでも似合いそうだといつも思っていたのよ。ふふ、コレクションも始まるし、そちらも一緒に行きましょう」

緑はそう言って、吉見を振り返った。

吉見は心得たようにタブレットに素早く打ち込むと「チケットを用意していただくよう、筧先生にお願いいたしました」と素早い反応を見せる。



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