もうひとりの極上御曹司
興奮しているせいか色白で透き通るような肌が赤みを帯び始める。
綺麗な二重とすっと通った鼻筋、きゅっとしまった顎の形も羨ましい。
生まれながらのお嬢様で極上の美しさに恵まれた幸せな女性。
おまけに彼女を溺愛する旦那様は誰もが知る企業グループのトップだ。
ここまで幸せな人がいるものなのだと、千春は改めて思った。
緑の今の悩みといえば、忙しすぎる旦那様との時間を思うように取れないことと、息子二人が冷たいことだ。
それは緑の単なる思い込みで、実際は息子二人は緑の突拍子もない性格と無計画な行動に気を揉み厳しい言葉を口にしているだけで、母親を大切に思っているのだ。
木島家を敵視する人も少なくない中、緑には絶えず護衛がついている。
過去には木島家の縁戚の中に誘拐されかかった者もいるとなれば護衛がいるのも当然だ。
そんな状況だというのに、自分の好奇心の赴くままに行動している緑を叱るのも二人の息子の役目。
『母さんに振り回される護衛たちの身にもなれ。街中でおいしそうなものを見つけて突然人込みの中を駆けだしたり思い付きで海外まで飛ぶな。セキュリティーを整える時間が必要なんだ。母さんに何かあれば護衛の責任になるし、母さん命の父さんが機能しなくなるだろう。世間知らずという言い訳なんて聞かない。単なるわがままお嬢様だ。いい加減、木島の人間であることを自覚しろ』