もうひとりの極上御曹司

整った見た目はマスコミからの注目も高く雑誌の表紙を飾ることも多い。

広報から木島グループの宣伝になるからと言われ、渋々カメラの前に立つこともあるが、どんな雑誌も即完売でその存在はまるで芸能人なみだ。

今も上質なグレーのスーツがよく似合い、自信も感じられる。

千春の自宅にも愼哉がクールな表情を浮かべている雑誌が何冊もある。

その中でも、木島重工の本社一階ロビーで撮られた凛々しい立ち姿の表紙の経済誌はつい二冊も買ってしまった。

千春は名実ともに御曹司そのものの愼哉を目の前にし、自分との生きる世界の違いを実感して切なくなる。

それは七歳という年齢差だけでなく、愼哉はいずれ国内外にその名を知られた木島グループのトップに立つ。

一方千春といえば、小学生のときに両親を亡くして以来、駿平とふたりで暮らしてきた平凡な大学生だ。
両親が多少のお金を遺してくれたおかげで贅沢をしなければ生活には困らなかったが、立場の違いを知るにつれ、愼哉を遠い存在に感じるようになってきた。

おまけに今日一日世間を賑わせている愼哉の結婚に関する話題は千春を落ち込ませるには十分だ。

「千春?」

ぼんやりとしている千春に、愼哉が声をかけた。

「いつも面倒ばかりかけて悪いな。母さんに無理して付き合うことはないし、なにかあれば俺に連絡しろ」

愼哉は千春にそう言うと、焦っている駿平に向き直った。


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