不明
我材は悩んでいた。なにせ伊須来の家が分からない。
別に初めて伊須来の家に行くわけではない。しかし我材は生まれつきの極度の方向音痴である。
小学生の頃は学校から自宅に帰るのに週四の割合で迷子になり、中学生の頃には教室に辿り着くのに四苦八苦していた。この方向音痴は一生直ることは無いだろう。
我材の思いとは裏腹に伊須来の家はどんどん遠のいてゆく。
苦労しながら歩き続ける我材。気がつくとそこは伊須来の家ではないがでは無いが見慣れた風景があった。
古びれたアパート、大きなビル。
声も出せず、ただ唖然としていた。五分後ようやく自分の置かれている状況を理解する。
「自分の家に戻ってきてしまった。」





< 19 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop