現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
会話に完全に置いてきぼりにされたグレースにも自分の話題が以前から出ていた事と、目の前の二人がとても仲が良い事は分かった。とは言えこのまま黙っていてはいつまでも挨拶が出来ない。
少し強引だとは思ったが、会話を遮るように前に出ると、レディとしての礼をとった。
「グランサム公爵様、初めてお目にかかります。シーモア伯爵が令嬢グレースにございます。今回はお願いを聞いてくださり、ありがとうございます」
深い礼から頭を上げると、視線の先執務机の奥に体格の良い老人が座っていた。
真っ白になった髪を丁寧に撫で付け、きちんとクラバットを結んだ姿は思わず頭を下げたくなる風格に溢れている。きっとそれは内面から漂うものが大きいのだろう。灰褐色の瞳はつぶらでくるくる動いて好奇心の大きさを示している。
名門貴族には珍しくだいぶ以前から自身で手広く事業を行い、先祖から受け継いだ富を莫大なものにさせたやり手。自分にも他人にも厳しい気難しやで、彼の前では誰もが萎縮して口がきけなくなる。
社交界の噂からもっと怖い人物を想像して緊張していたグレースはちよっと拍子抜けするのを感じた。
少し強引だとは思ったが、会話を遮るように前に出ると、レディとしての礼をとった。
「グランサム公爵様、初めてお目にかかります。シーモア伯爵が令嬢グレースにございます。今回はお願いを聞いてくださり、ありがとうございます」
深い礼から頭を上げると、視線の先執務机の奥に体格の良い老人が座っていた。
真っ白になった髪を丁寧に撫で付け、きちんとクラバットを結んだ姿は思わず頭を下げたくなる風格に溢れている。きっとそれは内面から漂うものが大きいのだろう。灰褐色の瞳はつぶらでくるくる動いて好奇心の大きさを示している。
名門貴族には珍しくだいぶ以前から自身で手広く事業を行い、先祖から受け継いだ富を莫大なものにさせたやり手。自分にも他人にも厳しい気難しやで、彼の前では誰もが萎縮して口がきけなくなる。
社交界の噂からもっと怖い人物を想像して緊張していたグレースはちよっと拍子抜けするのを感じた。