現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
「よう来られた、グレース嬢。どうぞ存分に全てを使ってもらって結構。あなたの望みを我が家が叶えられると良いのだが」

「ありがとうございます。ご配慮、心より感謝します」

それでもどうしても挨拶が硬くなってしまったのだが、その存在感からどうしても仕方ない。途中から諦めたグレースは形式にのっとった挨拶を済ませて、大丈夫なのを確認するように傍らのヴェネディクトを見上げると、ヴェネディクトが軽くウィンクで答えた。

「大丈夫。ちゃんと挨拶出来てるし、公爵はそんな怯える必要のない人だよ。それに君が訪ねてくれた事を楽しんでる、安心して。ですよね、公爵?」

しかもグランサム公に確認まで取り出した。いかに親しいといえどあまりにぞんざいな態度にグレースが青くなった。

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