運命だけを信じてる
過去の資料が置いてある保管室に小牧さんを案内した。本棚にはぎっしりとファイルが並べられている図書館のような場所だ。
「ここに掲示されているリスト通りに並べられているから、参考にしてね」
「はい」
「特にこの列の書類は頻繁に使うかな」
話している途中で、お昼休みを告げるチャイムが鳴り響いた。
「分かりました。ねぇ、前山さん」
「なに?」
本から目を離して小牧さんを振り返れば、私の背後にいた彼が手を伸ばした。
「ちょっ、と…」
本棚に両手をついた彼の腕の中に閉じ込められる態勢だ。
壁ドンのような激しさはないけれど、漫画のワンシーンで見たことのある光景。
そんなことを冷静に分析できている。
だから、大丈夫。
「退いて」
逃げずに彼と向き合う。