運命だけを信じてる
睨むと小牧さんは口の端を上げた。
「前山さんがあまりに普通だから、少し寂しいです」
「昨夜のことなら、忘れることにしましたから」
管理課以外にもよく使われる保管室だ。
誰か入って来たらどうしよう。
こんな態勢では言い訳ができない。
「扉ばかり気にして。そんなに僕から離れたいですか?」
「社内でこんな状況見られたら、あなたの印象が悪くなるわ。出世にだって響くし、それに私も恥ずかしいから」
「僕は人からどう思われようと関係ないですけど、あなたにはよく思われたいです」
本当になんなの?
なんで私が対象なの?
聞いたところでまた運命などと誤魔化されるだけだろうから、彼の腕を掴んだ。
「退いて」
はっきり目を見て告げた。
あなたのペースに流されてたまるものですか!