運命だけを信じてる
どこが好きなのだろう?
ーー彼の全てが好きだ。
いつから星崎課長への"好き"よりも、小牧さんを優先したいと思い始めたのだろう。
教育係としての至らない私を、
仕事でミスをしてしまった私を、
フォローしてもらった時?
彼が雲田夏帆さんと親しげに話している時?
「まぁいいや。のろけ話をされても痛いだけだしな。ただ俺と飛鳥さんが付き合うきっかけが、君だったことを小牧が話したのならーーフェアじゃないからひとつだけ言わせてな」
「はい」
小牧さんのことで埋め尽くされた思考回路を呼び戻し、星崎課長と向き合う。
彼の目元にもくっきりとクマがある。
もしかして私と同じように眠れない夜を過ごしたのかな。
「5年前、君を管理課に異動できるよう、飛鳥さんが東課長と社長に説得してくれた。けど、ダメだった。彼女の意見に誰も耳を貸さなかったんだ」
「それなら、どうして私は異動できたのですか?」
飛鳥さんが頑張ってくれたからでは…。
「ーー小牧だよ。小牧が、おまえの異動について2人に口を利いてくれたんだ」
なんで、そこにーー
小牧さんが出てくるの?
私の入社2年目の話で、私たちはまだ出逢ってすらいない。
「東課長は猛反対したが、東社長は小牧には随分と甘かったようだ。すんなり辞令が出た」
「なんで小牧さんが…?」
当時、小牧さんが見ず知らずの私のために社長を説得する理由はないはずだ。
「そこまで俺が教える義理はないよ」
星崎課長はゆっくりと立ち上がる。
「今からでも本人に聞きに行ったら?」