運命だけを信じてる
理解しきれずに星崎課長を見上げる。
黒縁眼鏡、少し癖の強い髪と日に焼けた肌。眼鏡の縁と同じ黒色の瞳は、いつも真っ直ぐに私を見てくれた。
星崎課長はなにも変わらない。
ただ、今はもうその瞳を直視して気恥ずかしくなることはなく、冷静に顔を見合わせられる。
「一緒に行ってやるよ。ほら、行くぞ」
課長は私の反応を見て、笑った。
「どこへ?」
「小牧の家だよ」
「はい?」
「善は急げって言うだろう」
「そんな、逢瀬先輩のような無茶振りをしないでください!」
柱時計は20時を回っていて、突撃訪問するような時間ではない。
「知りたくない?小牧のことを」
「……」
星崎課長の話が本当であれば、私は小牧さんに大きな借りがあるのだ。小牧さんが私を庇ってくれた真相を知りたい。
「俺は知りたいよ、小牧の本心を。前山のことをどう思っているのかな」
小牧さんはまだ、ほんの少しでも私を想ってくれているのかな。
好きだと返すには、遅すぎるだろうか。