運命だけを信じてる
珈琲を淹れてもらい、4人掛けのテーブルに座る。私の前に座る小牧さんと目が合うと、彼は優しく笑ってくれた。
「2人が上手くいった報告ですか。でしたら、おめでとうござ…」
「いや。フラれたよ」
小牧さんの言葉を手で制して、星崎課長は首を振った。
「俺は前山にきちんと気持ちを伝えたが、彼女は応えられないそうだ」
「前山さん?何故です?」
意味が分からないと責めるような視線を向けられ、つい視線を外してしまった。
「それは…」
「他に想い人がいるとか。それより今夜、小牧を訪ねたことには別の理由が…」
歯切れの悪い私に助け舟を出した星崎課長の言葉に、小牧さんは溜息をつく。
「もう一度2人で話されたらどうです?前山さんの好きな人はあなたです」
そうだよね。
私は星崎課長が好きだと、小牧さんに打ち明けたばかりだ。
気持ちが変わったと告白しても当面は信じてもらえそうにない。
でも。もう逃げない。先送りにもしない。
真っ直ぐに小牧さんが私を想ってくれたように、私も小牧さんが好きだ。
「小牧さん」
そんな簡単に恋心が移り変わるものかと、失望されるかもしれない。
だから何度でも伝え続ける強い覚悟をもたないとね。
「私は入社当時から星崎課長に恋をしていました。でも今は、小牧さんと一緒に居たいと思います。私が隣りに居たいと思う男性は、あなただけです」