運命だけを信じてる
「星崎課長」
即座に立ち上がった課長を小牧さんが呼び止める。
「あなたは飛鳥を傷つけてまで、前山さんを選んだのですよね。だったらちゃんと前山さんの隣りに立ってください。男の家にひとり、彼女を置いていくなんて有り得ないです」
「最初に言ったろ。前山は俺の気持ちには応えられないと。だから、いいんだよ」
「そんな簡単に諦めるのですか?きっと前山さんは僕に同情しているだけです。もしくは恩を感じているだけです。彼女の気持ちは揺れているだけでーー」
「勝手なこと言わないで!」
拳を握り、声を荒げる。
「小牧さんは、なにも分かってないです!」
大声を出しても心は冷静だった。
そうか、小牧さんもこんな気持ちだったのかな。
私も好きだと言われた時、一時の気の迷いだと思った。すぐに冷める気持ちだと、信じられなかった。
伝わらないって、もどかしい。
「私は、小牧真矢さんが好きです」
照れながらの告白には程遠く、私は好きな人を睨みつける。
小牧さんは一瞬だけ苦い顔をして、ポーカーフェイスを繕った。
今更もう迷惑なのかな?