運命だけを信じてる

呆気にとられている間に、午後の始業開始のチャイムが鳴り響く。


「チキンとケーキが食える店なら、どこでもいい?」


「……」


「彼女さんに誤解を与えませんか?」


横から、小牧さんが口を挟んだ。


そうだよ!その通りだよ!


「私も!そう思います!私が彼女だったら、特別な日に他の女性と過ごすなんて嫌です」


「うちの彼女、そういうの気にしないから。問題なし。つーか、俺が前山のこと女として見てると思う?手のかかる、猿にしか見えん」


「はあ?」


「だから余計な心配すんな」


「先輩、ちょっと酷すぎま…」


「それじゃ!打ち合わせ行ってきます!」


私の言葉など聞く耳を持たず、ノートパソコンを抱えて席を立つ逢瀬先輩を見送る。

無茶苦茶な人だとは思ってたけど、失礼にも程がある。


「猿はないでしょ……」


「ないですね」


小牧さんが同意してくれた。


まぁ、確かにひとりで過ごすことになるのなら、逢瀬先輩と気軽に食事をしていた方が楽かもしれない。

あんな言い方だけど、私のことを気にかけてくれての誘いだってことくらい、分かるから。


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