運命だけを信じてる
「追加資料ですか?」
静かに会議室の扉を閉めた小牧さんはすぐに私に気付いた。
「いえ。先程の件で、小牧さんに話がありまして」
「先程?」
「クリスマスの、ことです」
ああ、と小牧さんは頷いた。
廊下を見渡し、人気がないことを確認する。
「もし本当に予定がないのなら、私たちと一緒に過ごしませんか?実は以前から小牧さんに声を掛けようと思っていて、逢瀬先輩には既に了承を得ています」
やっと!言えました!
「どうして僕を誘うのです?」
「どうしてって…」
せっかくのクリスマスだから一緒に居たい。
視線でそう訴えても、小牧さんは無反応だった。
言わせる気ですか…。
「特別な日なので、小牧さんと一緒に過ごせたら幸せだと思いまして」
「…そうですか。それなら、まず逢瀬先輩との約束を断って来てください」
歩き出した小牧さんの後をついて行く。
あれ?
実は小牧さんって逢瀬先輩のこと、苦手だったのかな。
「というか、普通は断りますよね?クリスマスに男女が2人って、そういうことでしょう」
もう少しでエレベーターホールなのだが、小牧さんは足を止め、皮肉たっぷりに言った。
「僕から逢瀬先輩に乗り換えたのかと思いました」